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地方自治の理念と運営 |
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日本国憲法は第8章「地方自治」にて、憲法上の制度として地方分権的な地方自治を厚く保障している。
地方自治とは、一定地域の住民が、地域問題を自主的に解決する政治のしくみのことである。
明治憲法には、地方自治に関する規定がなかった。
地方制度は中央集権的であり、知事は天皇に任命され、内務大臣の監督まで受けていた。こうした中央集権に対し、国家への権力集中を防ぐ役割が地方自治には期待されている。
地方自治制度には民主主義の精神を育む役割もあると考えられている。 |
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イギリスの政治学者ブライス(1838〜1922)は、「地方自治は民主主義の学校である」と述べている。
身近な地域の問題について自分たちで決定するようにすれば、民主主義のエッセンスを肌で学びとることができるからである。 |
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憲法第92条
「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」
地方自治の本旨とは、団体自治と住民自治という二本柱で支えられている。
団体自治
地方政治は国から独立した団体によって運営されなければならないという地方分権的な基本原則のこと→条例制定権など
住民自治
地方政治は住民の意思に基づいて行われなければならないという民主主義的な基本原則のこと→首長・議会の公選制、直接請求権 |
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地方自治の運営 |
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地方自治体(地方公共団体)において、議案や予算を提出し、行政事務を執行するのは長(都道府県知事・市町村長)であり、住民からの直接選挙で選出される。任期は4年。
これに対して条例制定・改廃や予算の審議などを行うのが議会である。議員は住民の直接選挙により選出される。国会とは異なり一院制である。
長は条例、予算などについての議会の議決について再議に付すことができる(拒否権)
議会には、長への不信任決議権が認められており、これに対して長が議会の解散をもって応じることができる(解散権) |
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*行政委員会
執行機関として、長の他、選挙管理委員会、人事委員会、教育委員会、監査委員が設置されている(キョセンカジ) |
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