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労働問題
労働問題とは、労働時間や賃金などの労働条件をめぐる使用者と労働者の摩擦や紛争のことである。
労働市場においては、1人ひとりの労働者は形式的には使用者と対等な立場にあるが、実際には力の差がハッキリとしており、労働者が使用者から不利な労働条件を一方的に押しつけられることがとても多い。会社から見れば労働者はいくらでも代わりがいるからである。そこで、労働者たちが自主的に団結して、劣悪な労働条件の改善、向上をめざす労働運動が生まれた。
18〜19世紀のイギリスやフランスなどでは、いち早く熟練労働者を中心に労働組合を結成する動きがでた。使用者側に集団で待遇改善を要求し(団体交渉)、いざとなるといっせいにストライキをおこなった(団体行動)。
このような動きに各国の政府は危機感を感じたため、当初の労働運動はどこでも激しい弾圧を受けた。しかし、労働者側も必死に運動を展開したので、20世紀に入るころには、団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)の労働三権は社会権の1つとして国際的に認められるにいたった。
1917年にはロシアで社会主義革命が成功し、1919年には国際連盟と同時に国際労働機関(ILO)も設立された。イギリスでは1924年に労働党政権が誕生した。
戦前日本の労働運動
労働組合期成会(1897)や友愛会(1912)をへて、1921年には日本労働総同盟が結成された。しかし、戦前の労働運動は、治安警察法(1900)や治安維持法(1925)などによって厳しい弾圧にさらされた。
日本では戦後になって、ようやく労働者の権利が認められた。1946年に日本国憲法が公布され、労働三権(第28条)が初めて憲法上の権利として認められた。第27条の勤労権と(労働権)とあわせて労働基本権と呼ばれる。そして、これらの権利を確保するために、労働基準法(1947)、労働組合法(1945)、労働関係調整法(1946)といった労働三法が次々と成立した。
「全体の奉仕者」(第15条)である公務員は労働三権が制約され、法律上、民間の労働者とは異なる扱いを受ける。「公務員」には国家公務員だけでなく地方公務員、地方公営企業職員も含まれる。
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団結権 |
団体
交渉権 |
団体
行動権 |
民間労働者 |
○ |
○ |
○ |
一般の公務員 |
○ |
△* |
× |
警察・消防職員
や自衛官など |
× |
× |
× |
*労働協約の締結権なし
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