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現代の雇用問題
戦後に形成された日本的雇用慣行(日本的経営)と呼ばれるものは、
・ 終身雇用制
・ 年功序列型賃金
・ 企業別労働組合
であり、この3つの慣行はそれぞれが密接に関係している。終身雇用制であればこそ、給与体系が安定して、年功序列型賃金となる。それによって、転職の機会も少なく、企業への帰属意識が高まり、組合も企業単位で組織されることになる(企業別労働組合)。こうした流れのなかで、企業は家族のような機能を持ち、戦後日本人はみなが企業で懸命に働いて、高度経済成長を実現してきた。
しかし、1990年代以降、バブル崩壊とグローバル化により、企業を取り巻く環境が大きく変化した。リストラした正社員に代わってパートタイマー・派遣社員・契約社員などの非正規従業員を雇用し、職務給、職能給、年俸制といった能力給を導入する企業が増えていった。終身雇用制と年功序列型賃金は次第に崩れていった。
ところが、企業別労働組合は、いまでも日本の労働組合の大きな特徴であり続けている。欧米では産業別労働組合が基礎になり、個別の企業は支部や分会といったものが組織されることが多いが、日本の労働組合は企業単位で組織されるのが普通である。
女性雇用比率は、2000年には40%となった。しかし、男性との賃金格差が大きく、パートタイマーが女性雇用者数の多くの部分を占めている。そこで、1歳未満の子を養育するため、男女問わず休職できる育児休業法が1992年に施行され、1995年には育児・介護休業法に改正された(1999年施行)
1997年に男女雇用機会均等法(1985)が改正されて、事業主にセクシャル=ハラスメントの防止を義務づけるとともに、努力義務であった採用、配置、昇進などに関する平等処遇を差別禁止規定に強化し、是正勧告に従わない企業名を公表できるようにした(1999年施行)
女性の社会進出は年々進んでいるが、多くの女性は結婚、出産、育児のために仕事を途中でやめてしまう。育児がある程度終わると、再び働き始めることが多い。この年齢別にみた女性の労働力人口比率の推移をグラフにすると、M字型の曲線になることからM字カーブと言う。このM字の谷間にあたるブランクもあり、男女の賃金格差は大きく、女性の労働条件は厳しい。
1980年代後半には、年間労働時間が2000時間を超えていたのは、先進5ヵ国の中では日本だけであったが、1990年代以降、週休二日制や週40時間労働制の実施、不況の長期化などで、労働時間は短くなっている。しかし、過労死(突然死・過労自殺)や統計に表れないサービス残業が後を絶たない。
学校を卒業しても、仕事に就かないニート(若年無業者)が多数いることが、厚生労働省の調査で明らかになっている。
高齢者については、非常に数の多い団塊の世代(1947〜49年生まれ)が2007年から2009年にかけて60歳定年を迎え、彼らの継続雇用や企業にとっての技能継承が大きな課題となった(2007年問題) |
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