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中小企業問題

日本には、少数の大企業と多数の中小企業がある。両者の間にはさまざまな経済格差が広がっている。この経済格差のことを
二重構造という。

中小企業は事業所数や従業員数は多いが、出荷額の割合が低い。これは中小企業は大企業と比べて生産性が低いことをあらわしており、その理由は、
資本装備率が低いことにある。そのことにより、賃金も大企業よりも低くなり、多くの中小企業は大企業の下請けとして、ひとたび景気が悪化すると単価の切下げや発注の打ち切りにあうということが多い。すなわち、中小企業は景気の調節弁としての立場を余儀なくされている。

中小企業の定義
 業種 資本金 従業員 
 製造業  3億円以下  300人以下
 卸売業  1億円以下  100人以下
 小売業  5000万円以下  50人以下
 サービス業  5000万円以下  100人以下

中小企業基本法の改正(1999)
大企業との格差是正を目的とした
中小企業基本法(1963)が、1999年に改正・施行された。企業間の格差是正という立法目的が削除され、多様で活力ある経済発展をめざす中小企業を支援するという競争政策的な法律に改正された。これにより、国の支援を受けることのできる中小企業の範囲も拡大された。

中小企業は、大企業に比べ担保資産が少なく、倒産のリスクも高いため、大手都市銀行は中小企業への融資には消極的になる。その結果として大企業へは都市銀行が融資し、中小企業へは小規模金融機関が融資をおこなうという金融の二重構造が形成されてきた。そのため、1953年には、中小企業向け金融機関産業として、全額政府出資による中小企業金融公庫が発足した。

1990年代に入ってバブルが崩壊し、大量の
不良債権が発生すると、金融機関の貸し渋りにより、多くの中小企業が倒産した。

さまざまな工夫によって、生き残りをはかる中小企業も出現する。先端技術や研究開発などを元に大きく飛躍する
ベンチャー=ビジネスが注目されている。とくにIT産業などでは少ない資本で大成功するケースもあり、そうしたビジネスを対象に投資をおこなうベンチャー=キャピタルも存在する。また、他の企業が見落としている「すき間」を埋めるニッチ産業に活路を見いだそうとする例も少なくない。地域の伝統などを活かした地場産業も、そのブランド力をITと連動させて、大きな成功をおさめている例もある。大企業の系列から抜け出して、独自の道を探ることが、今後の中小企業にとっての課題である。


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