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消費者問題

資本主義の発展した現代の市場では非価格競争のウエイトが大きくなっており、一般消費者は個々の商品についての詳細な情報を得ることが難しくなっている。そのために、欠陥商品や有害商品により被害を受ける消費者問題が起こりやすい。

高度成長期に起こった消費者問題として、1955年の
森永ヒ素ミルク事件は、ヒ素の混入した粉ミルクを飲んだ乳児133人が死亡し、1万数千人もの被害者が出た。また、スモン病事件では、整腸剤キノホルムの服用により多数の下肢麻痺や視力障害などの被害が発生し、多くの死者まで出した。1961年〜62年に発生したサリドマイド事件では、睡眠薬を服用した妊婦から障害児が、1000人以上産まれ、1968年のカネミ油症事件では、カネミ倉庫の製造した米ぬか油にPCBが混入し、1万人以上に皮膚や内臓の障害が発生し、そのうち約400人が死亡している。

その後も消費者被害がなくなったわけではなく、1980年代に発覚した
薬害エイズ事件や、2002年から訴訟となった薬害肝炎訴訟などの薬害事件が起きた。そのほか、経済のサービス化が進行したことにともなって、さまざまな悪徳商法や、消費者金融などによる多重債務、自己破産など、消費者被害は多様化している。

現代の悪徳商法
・マルチ商法(連鎖販売取引)、、、物品の販売組織に入会させて、会員を増やし、物品を販売すれば紹介料とマージンが得られるとして次々と会員を増やしていくしくみ。

・キャッチセールス、、、繁華街などで通行人を引き止めて、巧みな話術で商品購入契約をさせる手法。

・振り込め詐欺、、、主に高齢者に対して、息子などを名乗って電話をかけて、巧みな話術で金融機関にお金を振り込ませる詐欺。

消費者の4つの権利

1962年にアメリカのケネディ大統領が提唱したもので、

1. 安全を求める権利
2. 知らされる権利
3. 選択できる権利
4. 意見を反映させる権利

日本の消費者運動や消費者保護行政にも影響を与えた。


行政による対策としては、1968年に
消費者保護基本法がつくられ、消費者保護の基本方針が定められた。また1970年には消費者からの苦情や相談を受け付け、商品テストなども行う国の機関として国民生活センターが設立された。消費者行政を一元化するための省庁として2009年に消費者庁が設立された。

不当な契約や悪質な業者から消費者を守るため、2000年に
消費者契約法が制定され、2001年から施行(しこう)されている。この法律により、詐欺や不当な圧力で締結された契約を取り消すことができる。

製造物責任法(PL法)は、1994年に制定され、1995年に施行された法律で、企業は製品の欠陥から生じた被害について、故意・過失の有無にかかわらず、賠償責任を負わなければならない(無過失責任)。被害者側は製品に欠陥があったことを立証すればよく、企業の過失まで立証する必要がなくなった。ただし、対象となるのは製造・加工された動産だけで、造成地や住宅などの不動産は対象にならない。

1968年につくられた消費者保護基本法は2004年に改正され、
消費者基本法となった。これまでのように消費者を「保護」するだけでは不十分だとして、消費者の「自立支援」が目的とされた。


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