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国民所得と国富
国の豊かさは、大きく分けて2つの角度から客観的に測ることができると考えられている。
それが国民所得と国富である。
国民所得は、一定期間に国民が生み出した付加価値の合計である。
国富は、ある時点で国民が保有する資産の合計である。
国民総生産(GNP)は、ある国の国民が一定期間に、新たに生産した付加価値の合計である。GNPは、生産者が作り出した総生産額から、生産者が購入した原材料や燃料などの中間生産物額を差し引いて求める。
国民総生産(GNP)=総生産額−中間生産物額
次に、GNPから減価償却費(固定資本減耗)を差し引いたものを、国民純資産(NNP)という。
減価償却費とは、生産活動によりすり減った生産設備の価値の減少分のことであり、この減価分を付加価値の生産に必要な費用として考える。
国民純生産(NNP)=国民総生産(GNP)-減価償却費(固定資本減耗)
“総”と“純”の相違は、減価償却費を含むか含まないかの違いである。
国民総生産(GNP)や国民純生産(NNP)は、市場価格のままで計算されるので、間接税が含まれている分だけ割高となっている一方で、政府の補助金分だけ割安になっている。
狭義の国民所得を求めるためには、国民純生産(NNP)から間接税を引いて、補助金を加える。
国民所得(NI)=NNP−間接税+補助金
国民所得の代表的な指標として、GNPのほかに国内総生産(GDP)がある。
GNP(国民総生産)は、1年間に国民(海外の日本人・日本企業を含む)が得た付加価値の合計
GDP(国内総生産)は、1年間に国内(国内の外国人・外国企業を含む)で生み出された付加価値の合計
したがって、国民総生産(GNP)=国内総生産(GDP)+海外からの純所得
海外からの純所得というのは、国民が海外で稼いだ海外からの所得の受け取りと、外国人が国内で稼いだ海外に対する所得の支払いの差額である。
国富は、ある時点に、一国が保有する実物資産と対外純資産の合計のことである。
国富=実物資産+対外純資産
実物資産には、住宅や生産設備・在庫だけでなく、道路・港湾・上下水道などの社会資本が含まれ、土地・地下資源・漁場なども有形非生産資産として数えられる。
また、対外純資産とは、ある時点に日本が海外に保有する対外資産と、外国が日本に保有する対外負債の差額のことである。
国民所得は、一定期間における経済活動の成果を示すフローの概念であり、国富は、特定時点に一国が保有する資産の合計を示すストックの概念である。 |
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